2013.09.21 Saturday

PTA・KOYOクラブ共催 大山泰弘氏講演会

2013年9月21日(土)、日本理化学工業株式会社会長の大山泰弘氏を講師にお迎えし「幸せな人生は人の役に立つこと〜知的障害者に導かれた企業経営から〜」というテーマでPTA・KOYOクラブ共催の講演会を行いました。 日本理化学工業株式会社は国内シェア30%を持つダストレスチョークメーカーで、従業員76人中57人の知的障害者という多数雇用を実現されています。


 

障害者雇用のきっかけ  
1959年秋、青鳥養護学校(現・青鳥特別支援学校)の先生が突然来訪、「来春卒業する生徒を就職させてもらえないか」との依頼を受けます。当時知的障害者は「精神薄弱者」と呼ばれており、大山氏は「精神薄弱者の生徒などとんでもない」と“門前払い”をしたそうですが、その先生は2度、3度と通って来られ、3度目の「就職は諦めました。でも、このままだと施設に入り、働くということを知らないまま一生を終えてしまいます。せめて、一度働く経験だけでもさせてもらえませんか」との言葉に、あくまで実習期間2週間のみのつもりで女の子2人の職場実習を引き受けます。しかし最終日、実習をともにした従業員の方々から「一所懸命仕事をしてくれたんですよ。卒業したら親と別れて遠い地方の施設で暮らすのはかわいそうです。たった2人なんだし、私たちも応援するので何とかなりませんか」と懇願されます。そして「たった2人なら何とかなるか」と採用に至り、これが同社が知的障害者と深く関わる第一歩となりました。

何故知的障害者多数雇用モデル工場をつくったのか  
当初「たった2人だし同情もあって」の雇用。それが今や7割以上が知的障害者というモデル工場にまでなったのにはある人との出会いがありました。その人とは、ある法事の席でたまたま隣に座った禅寺のご住職。そもそも知的障害者が毎日会社に来て働くことに積極的な意味合いを見いだせずにいた大山氏は、そのご住職にこう話します。「字も読めない、数も数えられないような人たちは、施設で大事にされた方がずっと幸せだと思うのに、なぜ毎日会社に来て働いてくれるのか不思議なんです」。それに対しご住職はこう言われます。「人間は、ただ大事にされればそれで幸せというものではない。人間の究極の幸せは『愛されること』、『褒められること』、『人の役に立つこと』、『人に必要とされること』の4つ。会社にいるからこそ「君がいないと困る」と言われるのであり、施設に入ったらそうは言われない。人間を幸せにするのが企業。」と。その言葉に「人間の幸せ」「働く幸せ」に気づきを得た大山氏は、そういう人たちを一人でも多く雇用する会社にするように頑張ってみようと決意、それが今日の障害者多数雇用の大きなきっかけになります。

知的障害者の理解に合わせた工程の工夫  
重度の知的障害者であっても、彼らの理解力に合わせて段取りを作ることができれば、むしろ安心して仕事を任せられることに気づいた大山氏は、彼らの理解力に合わせた工程の工夫を施します。例えば数字や文字の読めない人のために、色別の容器と錘(おもり)を用意して色合わせだけで材料の計量ができるようにしたり、機械を動かす時間の管理には砂時計を活用、チョークのJIS規格(太さ)管理には新たに治具を考案・導入しました。  また、13名の知的障害者の中にマネージャーの助手を務める班長を置き、他の障害者の面倒を見る(丁寧に教えてあげる)というポストを与えました。そのおかげで「13名の障害者を一人のマネージャーが見る」という人件費をかけない仕組みができました。
とは言え、誰でも採用されるかと言えばそうではなく、「身辺処理が一人でできること、簡単でも良いから返事ができること、言われたことを一生懸命にやること、周りに迷惑をかけないこと」という雇用する際の4つの約束(条件)があるとのお話もありました。

知的障害者の無言の説法のおかげでもらった多くの気づき  
「50余年に亘る経営人生の中でいろいろなことに気づかされた」と語る大山氏は、その数々の“気づき”についてお話下さいました。
  1.  レポートの宿題のために工場の見学に来た小学5年生の男の子。見学の2週間後に次のような礼状が来ます。「僕はびっくりしました。字が読めない人たちがあんなに上手に作っているのに。天の神様は、どんな人にでも世の中に役に立つ才能を与えてくださっているのですね。僕はあんなに上手にできるとは思えないので、ほかのことでもっと勉強して、世の中に役に立つ人になります」。天の神様のくださった「役に立つ幸せ」、その気持ちを生かせるようにしてあげればやがてそれは“才能”と呼ばれるものになる…企業の役割の大事さに気づかされます。
  2.  「ジャパンタイムズ」のハンガリー人女性記者が同社に取材に来られた際に言われた「日本は職人文化を持っているから、字が読めなくてもこういうふうに企業の貴重な戦力にできるんですね。」という言葉。言われてみれば、手取り足取り技術を教え育てていくのが、まさに「職人」。日本の中小企業はその職人文化を持っており、それをフルに活用し、障害者の理解力の中で手取り足取り教えていくことができれば、障害者に一般地域社会の中で働く場をもっと用意してあげられるのではないかということに気づかされます。
  3.  2009年、「障害者を長く雇用してきた工場」ということで「渋沢栄一賞」を受賞。他の方が多額の寄付による社会貢献が認められての受賞だったため「どうしていただけたのか」ということを尋ねたところ、「重度の障害者を雇用し、60歳を過ぎるまで面倒を見ている方が既に5人もいる。20〜60歳までの40年間、もし福祉施設で面倒を見たら、1人に2億円以上かかる。つまり2億円×5人で10億円の社会貢献をされたんですよ」と。障害者雇用でこういう貢献もできるということに気づかされます。

皆が役に立って働ける「皆働社会」実現へ向けて
「みんなで何とかすれば、みんなが幸せになる社会ができるのではという提案です」と前置きされた大山氏は、「福祉」の“福”にも“祉”にもついてる示(しめす)偏は、神様が人間を幸せにする恵を表す。そして、“福”という字は、人間が生きていくのに困らないモノの幸せ、“祉”は、人間の心の中に宿って人間の気持ちを幸せにすることを表している。また日本国憲法の13条では国民すべてに対して幸福の追求を最大限尊重することを定めており、25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、27条では「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」とされている。ところが日本の現状は、「能力がなくて働けなければ施設で面倒をみれば良しとされており、国は本当の「福祉」、憲法に書いてある「幸せ」「権利・義務」の実現に対しまだまだ努力が足りない」と強く訴えられました。
ドイツ、フランス、イギリス、ベルギーの障害者施策の海外視察に行かれた際「最も勉強になった」のがベルギーで、重度知的障害者が雇用の対象にならないヨーロッパの中にあって、ベルギーでは、企業が重度知的障害者に雇用の場を提供する企業に代わり、国が最低賃金を払う制度を設けているそうです。大山氏は、ベルギー方式を日本に導入することで、憲法が定めている国民の権利・義務の実現を推進するとともに経済効果も得られ、さらに中小企業の経営体質強化にもつながると次のようなシミュレーションを示されました。
「一般社会で働けない障害者一人を施設で面倒を見ると40年間で2億円、1年当たり500万円かかる。日本の現在の最低賃金は年間150万円、月に12〜13万円なので、ベルギーのような仕組みを日本に作ったら、500万円かかっているものが150万円で済む。国はその浮いた350万円分を別な施策に回すことができる。そして障害者本人は、月に12〜13万円もらえることで、月に6〜7万円のグループホームで食事付きのケアをしてもらいながら、残りのお金で多少好きなものも買いつつ、地域で自立ができ、家族も安心できる。一方、特に職人文化を持つ中小企業であれば、知的障害者を、一人前とはいかなくても何らかの戦力とすることは可能。それは企業にとってもプラスである。まさに本人・家族・国・企業の『「四方一両得』」でしょう。」
大山氏は「ベルギー方式を参考に日本方式を導入したらいい。それには保護者を含め様々な立場の人が国に働きかけて欲しい。」と参加者に強く訴えられました。
そして最後に、人の幸せのために一生懸命やっていると、ブーメランのようにその幸せは自分に戻ってくる、必ず自分も幸せになれると締めくくられました。
 

終始優しく静かな語り口でお話をされる大山会長。その優しいお人柄が随所に感じられる講演会でした。

参加者からは
「子供の将来の参考にとお話を聴きましたが、自分自身の今までの考え方、これからの生き方に大いに参考になりました。素晴らしいお話でした。」
「ご著書やテレビを拝見していましたが、実際にお目にかかれたことは私の財産となりました。邪心なくひたむきに頑張っている姿に人は力になりたいと感じるのだと思います。毎日、真面目に出勤していく息子から「ほめられたい」「期待に応えようとする本能」を感じています。自分では表現できなかった一つひとつを言葉として伺うことができ納得と感動の連続でした。今日の気持ちを忘れないようにしたいです。」
などの感想が寄せられました。

お話にあった「皆働社会の実現」は、まさにKOYOクラブの目指すところで、大山会長の力強いお言葉から今後の活動への大きな励みと貴重な示唆をいただいた気持ちです。より多くの障害者雇用を実現するために、中小企業を国が支援する仕組みを作るべく、関係各所に働きかけていきたいと思います。
2009.09.26 Saturday

KOYOクラブ設立10周年記念講演会

「知的障害者・発達障害者が被害にあうとき、加害者になってしまうとき」というテーマで講演会を行いました。
講師の大石剛一郎先生は、被害・加害についての多くの事案に携わって来られ、さまざまな事例からその実態についてお話下さいました。

 

何よりも「“必要な”支援、“適切な”支援」を行っていくこと。それがなかったがゆえ、事件になってしまうことが多い

そのためには
「本人の特性を知る(知らなければ支援はできない)」「本人へのエンパワメント」「周囲の状況・環境を整える」

そして
「仲間を作る」「自分を肯定できるような役割を」

悲しい事件が起こらないよう、親の会としてKOYOクラブが担える役割はけっして少なくないのではと感じます。

**

今回、会員のみではなく、近隣の特別支援学校、福祉施設等外部の方にも広く呼びかけるという初めての試みでした。
幸い200名近くの方にご参加を頂き、被害・加害への関心の高さがうかがえました。

また、校長先生をはじめ流山高等学園の先生方には本当にお世話になりました。
改めて御礼を申し上げます。
Calendar
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>
Selected Entries
Categories
Archives
Profile
Search this site.
Others
Mobile
qrcode
Powered by
30days Album
無料ブログ作成サービス JUGEM